top of page

赤坂水戸幸 東美特別展
世界各地で毎週のように開催される展示会の多くは、短期間のためだけに設営され、会期終了と同時に解体・廃棄される、いわばスクラップアンドビルドの世界である。数日から数か月の展示のために急ピッチでブースを設営し、それを壊して捨てる行為が繰り返されている。建築に比べて圧倒的にサイクルが早い展示空間は、その分、環境への負荷も大きい。この課題意識は、過去に美術館の展示設営に携わった際に強く感じたものである。

そのような思いを抱いていた折、東京美術倶楽部で三年に一度開催される、日本最古のアートフェア「東美特別展」のブース設計の依頼を受けた。古美術商を営むクライアントからは、美術館のように一点一点を丁寧に照らし、掛軸・茶碗・香合の三点のみを特別に展示したいこと、また屋号に由来する井桁の意匠を取り入れたいという要望があった。これに対し、本展示限りの仮設空間ではなく、一部を今後の展示にも繰り返し使用できるアップサイクル可能な展示什器とすることを設計のコンセプトとし、クライアントと継続的に議論を重ねた。

ブースは長方形平面とし、正面奥に掛軸、その両側に茶碗と香合を配置するシンメトリーな構成とした。意匠もこれに呼応させ、エントランス左右には井桁の組子による門型を設え、来場者を迎え入れる。奥の展示エリアでは、入口とは意匠と色調を変えた井桁の組子を用い、展示品の格を引き立てる空間演出を行っている。


