top of page
_J5A3312.jpg

赤坂水戸幸 東美特別展

 世界各地で毎週のように開催される展示会の多くは、短期間のためだけに設営され、会期終了と同時に解体・廃棄される、いわばスクラップアンドビルドの世界である。数日から数か月の展示のために急ピッチでブースを設営し、それを壊して捨てる行為が繰り返されている。建築に比べて圧倒的にサイクルが早い展示空間は、その分、環境への負荷も大きい。この課題意識は、過去に美術館の展示設営に携わった際に強く感じたものである。

_J5A3322.jpg

 そのような思いを抱いていた折、東京美術倶楽部で三年に一度開催される、日本最古のアートフェア「東美特別展」のブース設計の依頼を受けた。古美術商を営むクライアントからは、美術館のように一点一点を丁寧に照らし、掛軸・茶碗・香合の三点のみを特別に展示したいこと、また屋号に由来する井桁の意匠を取り入れたいという要望があった。これに対し、本展示限りの仮設空間ではなく、一部を今後の展示にも繰り返し使用できるアップサイクル可能な展示什器とすることを設計のコンセプトとし、クライアントと継続的に議論を重ねた。

_J5A3384.jpg

 ブースは長方形平面とし、正面奥に掛軸、その両側に茶碗と香合を配置するシンメトリーな構成とした。意匠もこれに呼応させ、エントランス左右には井桁の組子による門型を設え、来場者を迎え入れる。奥の展示エリアでは、入口とは意匠と色調を変えた井桁の組子を用い、展示品の格を引き立てる空間演出を行っている。

_J5A3334.jpg

 これらの什器はすべて、次回以降の展示での再利用を前提に、寸法・構成・ディテールを計画段階から設計した。

_J5A3394.jpg

また、照明機器についても汎用性の高い展示用器具を選定し、次回の展示での使用を可能としている。一方で、 展示ごとにブースの大きさや条件が異なる壁については再利用が叶わず、今後の課題とした。

_J5A3389.jpg

 展示計画では、限られたスケジュールとコストを優先するあまり、スクラップアンドビルドに陥りやすい。しかし本計画のように、再利用可能な要素を積極的に組み込み、次へと繋げていく視点を持つことは、展示空間においても環境負荷を低減する有効である。

_J5A3264.jpg

 一過性の空間だからこそ、そのつくり方が問われ、サステナブルな視点を設計に内包させることは、現代の設計者に求められる重要な役割の一つである。

赤坂水戸幸 東美特別展

2024.10

竣工/Completion

赤坂水戸幸 東美特別展/Exhibition

用途/Principal use

 18.90 ㎡

床面積/Floor area

株式会社ブランコ/Branco Inc.

施工/Contractor

淺川敏/Satoshi Asakawa

撮影/Photo

Gallery

Copyright © 2018 Shio Architect Design Office Co.,LTD. All Rights Reserved.

bottom of page